死神ゲーム   高﨑真也  壱 自分

最初は軽い気持ちだった

こんなことになるとは思ってもいなかったんだから!!!

 

 

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「真也、朝だよ。起きな。」

グイッと布団引いたのは大学生の姉・美波

「あと五分・・・。」

俺はそういって布団にもぐろうとする。

「だめっつてんでしょうが!!」

「うわぁぁぁ!!」

姉が布団を引っ張った途端、俺はベットから転がり落ちた。

「いってぇよ、姉貴。」

「いつまでも寝てるお前が悪い。」

「んな、正論言われてもさぁ。」

そういいながらも俺は起き上がる。

「朝ごはん、出来てるから。」

「はいはい、行ってらっしゃい」

そういって俺は姉を見送った。

 

俺、高﨑真也は姉と二人暮らし

両親は転勤でアメリカにいる

本当は父だけ行けばよかったのだが、

「私、パパと一緒にいたい!!」

と、母は少女マンガ的セリフを言い放ち父と一緒に行った。

そんなことがあったのが3年前。

 

リビングに行くとテーブルの上に俺の朝食と書置きがあった。

「真也へ   洗濯だけやっておいて。  美波」

ちょっと癖のある字

姉は毎日朝早く出かけていくので毎日書置きをしていく。

家事は姉と分担して行うから。三年前から毎日こんな感じだ。

一回姉が書き忘れたことがあった。その時は何故か不安で仕方なかった。

まぁ、それ以来忘れることはなくなったけど。あと、俺は姉の字が好きらしい。

・・・・何故なんだろう。シスコンでは無いはずなのだが。

 

「なんか面白いの無いかなぁ。」

俺は朝飯を食べながらテレビを見ていた。

やっているのはいたって普通のニュース番組や幼児向けの番組。

 

「・・ん?なんだこれ」

朝飯を食べ終えテレビを消そうとした時、ある映像が流れた。

「ここが、事件のあった現場です。男性は・・・・」

そこにはこう書いてあった。

「○○市で男性が死亡しました。体がばらばらにさて放棄されていて、警察はこの男性が都市伝説の死神ゲームに参加したとみて調査を進めています。」

 

死神ゲーム

 

俺も聞いたことがある。5人一組となり死神と戦うゲーム。

「ある」手順でしか参加できないという。

死神に倒されたらその人は死ぬ。

死神に勝った人は誰一人といない。

 

「死神ゲームか・・・・」

そんなもの、ただの都市伝説だ。

俺はリビングに言い放ち家を出た。

 

 

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季節は春。

そして今日は入学式。

・・・もちろん後輩のだけど。

通学路には大きい桜の木があり、ちらほらと新入生とその親が見える。

俺はそんなお祝いムードの最中、ヘッドフォンをし歩いていた。

入学式なんか面倒でしょうがない。新入生のための歌の練習。

演劇部などによるステージ。

こんなもののどこが楽しいのだろうか。

俺は「え?俺ら青春時代真っ最中だぜとかいう奴ウザい系男子」のためこういう行事は極力参加はしない。

・・・まぁ、一応所属している軽音楽部のステージには出るが。

よくクラスメイトには「お前、普段の態度と部活の態度の違いすげぇな!!!」

と言われる。ようするに普段とのギャップがすごいということだ。

初めての文化祭があった日なんかは打ち上げの際クラス全員に言われてしまった。

でもクラスの半分がおそらく「お前wオタクかよwwwキモww」と思っているだろう。まぁ、正直俺ボーカロイド厨だし、ネトゲ大好きだし、安定のエア充、コミ症だし。虚しいが納得してしまう。

 

そう思っているうちに俺は学校の目の前にいた。

つい無意識のうちに来てしまったのだろう。

「はぁ、新しいクラス行きたくねぇ。」

俺はかつてないため息をつく。

 

何でこんなにも俺がクラスを拒むのか。それには少し理由があった。

 

一つ目はクラスのリア充度が高すぎること。クラスの8割が彼氏彼女持ちってどういうことだろうか。これは、俺にとって最高の罰ゲームとなった。そのせいだろう、

俺のイライラボルテージはわずか一日で最高到達点に届く勢いになってしまった。

二つ目は、・・・これはけして嫌ではないんだが、まぁ嫌だけど。

世間でよく話題になるいじめだ。運悪くクラスにヤンキーがいて俺のギャップ(?)

を嘲笑うかのようにいじめる。これは特に問題ってほどの問題ではない。

なんにせよ、相手が弱すぎる。こちらが得意の睨みを利かせただけで初日は去って行った。

 

そんな感じでこれからを過ごしていかなければならないと思うと泣きそうになる。

そう思った矢先、遠くの方から聞き覚えのある声が聞こえた。

「おーーーーい!真也!おはよう!」

「杏奈、なんでお前はそんなに朝っぱらから元気なんだよ。異常だろ」

この無駄にでかい声の主は木崎杏奈

俺の幼馴染だ

友達以上の関係はもちろんない。あったら俺はこの世にいないだろう。

「そんなもんだって。ってか、真也の方が異常だよ!!」

杏奈が言うのも無理はない。今の俺は髪はぼっさぼさだし、寝癖ついてるし、目の下には大きいくまがある。

「いつものことだろうがよ。俺もお前も。」

「正論っ!!」

杏奈は笑った。

こいつはよく昔から笑う。いや、笑っているところしか見たことがない。

「・・・、ある意味怖いな」

「ん?なんか言った?」

杏奈は不思議そうにこちらに顔を向ける。

ーーーやべぇ、声に出てたか。

「ううん、何でもないよ!」

俺はなぜか笑顔で答えた。

「嘘だ、真也が笑うときって嘘つくときか部活の時か現実逃避してる時だけでしょ」

ーーーあ、そうだった。杏奈には俺の嘘は通用しないんだった。

 

「まぁ、いいや。あ、そういえば今日の朝のニュース見た?」

「ニュース?どんなやつ?」

「死神ゲームのだよ。あの被害者去年卒業した先輩達なんだって。死神ゲームもクラス全員でやったんだってさ。」

「まじ?どーりで警察がいると思った。」

辺りを見ると警察と思われる人がいる。

杏奈が言うには卒業記念と言って死神ゲームを始めたらしい。

「なんでお前が知ってるんだよ。」

「ほら、あたしの父さん警察でしょ?ちょっとだけ聞いたんだ。」

そういえば、杏奈の父は警察の調査官だったっけ。

「でも、ちょっと可哀そうだよな。入学式なのに。」

「本当にね。入学式に警察が来てるんだもん。まぁ明日の方が来ると思うよ。今日は入学式だから警察の上の人しか来てないから。」

警察も入学式だから大勢で来るのはやめたんだろう。折角の入学式だから。

「あ、あたし先生に用事があるからもう行くね!!」

「ああ」

そうやって俺は杏奈と別れ、昇降口へ向かった。

 

 

「おっはよ!!真也!」

「うるせぇよ一輝」

このハイテンションは親友の出雲一樹

そしてリア充

「なに?また俺にリア充しにきたの?」

なんでこいつと親友なんだとたまに思うがこいつもつい先月までは非リアだった。

なのに学年一のマドンナに告白されリア充になっていった。

 

「真也もリア充になればいいんだよ。」

「こんなにリア充嫌いな俺が簡単にリア充になれると思うか?」

ズバッと呆れたように言ってやった。

「確かに思わないwwでも、木崎とかと仲いいじゃん。付き合わないの?」

 ーーうざっ!!なんだよ。

「杏奈はただの幼馴染だっつうの。」

「でも、ある日突然理性が崩れて・・」

「お前死にたいの?」

一樹を睨んだ。

「ごめんごめん。あ、俺もう行くな!!会議があんだよ。」

そういうと、一樹は職員室の方へかけて行った。

「お、おう。いってら」

俺は一樹の後姿を見送り、自分の靴箱に靴を入れ自らの教室へと向かっていった。

 

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「はぁぁぁ、疲れた。」

「まぁ確かに。」

 

あの後入学式やら入部歓迎やらいろいろあり、もう周りは暗くなっていた。

時刻を確認してみるともうすぐ7時になる。

俺は杏奈と帰路についていた。

 

「テニス部には新入生きた?」

「うん!結構来てくれたよ!軽音楽部は?」

「あぁ、結構ヲタクのやつがな」

「ははっ!!そうかぁ!いやぁー面白くなるねぇ」

そういいながら杏奈は笑った。