自称リケジョの浦島難民

気がついたら高校二年生です

僕等の人生戦争 Ⅰ 僕等

朝から歩いてもうどのくらい歩いたのだろう。

 体力に自信がある私でも足が悲鳴を上げている。

「ねぇ、陸。まだなの?」

「俺も前来たのが4歳だからな、覚えてない」

「もー、なんでないんだよ。」

 

こんなことになったのは数日前のこと・・・。

 

城池 妃那 (しろいけ ひな)

普通の女子高校生。

高校では陸上部に入っている。

そう、どこにでもいる普通の女子高校生。

周りからはそう思われるかもしれない。

だが実際は違う。

私自身もよく分かっていないが、

私には、魔女の血が通っているらしい。

最初聞いたときは信じられなかったが、どうやら本当のようだ。

 

部活が終わり、帰る準備をしているとき、

「ねぇ、妃那ってホントに魔女の末裔?」

親友の橘梨花が聞いてきた。

「私もよくわかんないけど、らしいよ。ていうか、梨花今日5回目だよそれ聞くの。」

「ごめんごめん。俺すぐ忘れるからさ」

梨花さ、あんた女なんだから俺っていうのやめたら?」

梨花とは生まれた時からの縁だが、ずっと自分のことを俺と言っている。

「ほら俺、男兄弟にもまれて育ったからさ。」

「それとこれは違うでしょ。私もう帰るね」

「おーい、また明日。」

梨花は高校に進学してから引っ越した。

そのせいで、中学までは同じ通学路だったのが今では正反対になってしまった。

昔から人付き合いが苦手だった私は、いまでも5人くらいしか友達がいない。

しかも、みんな私の通学路と違う通学路なので高校からは一人で帰っていた。

 

   ・・・・今日までは・・・・・・・

 

「ただいまー」

時刻は6時、あたりはもう暗い。

しかし今日は散々な一日だった。

部活中に他の子に教科書を盗まれたり、

隣の子が給食中に牛乳をこぼし、私の給食がめちゃくちゃになったり、

なんでこんなにも今日は不幸なのだろう。

 

私は一人暮らしだ。

寮に住んでるとかではない。

此処が私の育った家。

両親は海外赴任中だし、

大学生の姉は上京している。

つまり、今ここの家に住んでいるのは私一人だけだ。

家賃や生活費は親持ちなので特に不便なことはない。

お小遣いは年に二回帰ってくる際に半年分貰っている。

会社などでいうボーナスと同じだ。

 

「なんか、暇だなぁ。夕飯は弁当だし、宿題はないし。今の時間ニュースしかやってないし。」

けして料理は得意ではないので、部活のある日は基本弁当やスーパーのお惣菜。

洗濯は2日に一回で十分だし、掃除は朝やったし、こんなに暇なのは久しぶりだった。

 

「ピンポーン」

家のチャイムが鳴った。

「ん?誰だろ。」

この時間、人が来るのは珍しかった。

「はーい、誰っすか?」

玄関を開けると、そこにはパーカーを被った私より少し高い男がいた。

「あ、あのー。どちら様ですか?」

「・・・ここって、城池さんの家?」

私の質問には答えず、男が話しかけてきた。

「え?は、はい。」

「あんた、城池妃那?」

「え、ええ。そうですけど」

男はしばらく私をじっと見つめた。

「あ、あのー、私に何か御用ですか?」

すると男は言った。

「え?あんた聞いてないの?」

なんだか驚いている様子だった。

「何をですか?」

「まじか。ったく、仁さん忘れやすいんだから」

え?なんでこの人父さんの名前知ってんの?

「まぁ、いいや。上がらせてもらうから」

「えっ?ちょ、困るんですけ」

私が言い終わる前に男が勝手に上がっていった。

 

「あ、あの」

男は自分の家のようにソファに座りくつろいでいる。

「んーと、あの、あなた名前は?」

「青木陸」

青木陸 どこかで聞いたこのがあるような名前だ。

父のことを知っているということはどこかであったことがあるのかもしれない。

「あんた、聞いてなかったんだっけ」

「は、はい。父からは何も聞いていませんけど。」

「じゃあ、俺が説明するよ。」

 

そして、青木さんの変化に気付いた。

 

目の下にくまのようなものができ、

 

手には長い棒に巻きつかれたチェーンを持っていた。

 

「あ、青木・・さん?」

 

この人は、

 

普通の人間じゃない。

 

私と同じように

 

「俺らは」

 

「兄妹なんだ」

 

その言葉は時も予想できなかった。

 

そして、その言葉を告げた時、時が止まったような気がした。

 

 

 

 

僕等の

本当の物語は

此処からだった

 

                   僕等の人生戦争  Ⅰ 僕等  終